和景刻はどう生まれた?究極の和を目指した置き時計アプリの作成秘話

和景刻はどう生まれた?

和景刻 京都シーン

和景刻は、和紙と墨絵の世界観で日本の風景が時間とともに移ろう、iPhone 向けの横向き置き時計アプリです。この記事では、その和景刻がなぜ生まれたのか、どんな違和感から始まり、どこにこだわって形になっていったのかを、作成秘話として綴ります。

和景刻の始まりは、大きな構想というより、机の上の小さな違和感でした。

仕事をしているとき、iPhone を充電器につないで、Apple の時計表示をそのまま置いて使っていました。便利ではある。でも毎日見ていると、少しずつ飽きてくる。悪くはないのに、ずっと見ていたい感じはしない。

どうせ仕事中ずっと視界に入るなら、もっと落ち着くものがいい。しかも、ただ和風っぽいだけではなく、もっと深く、もっと静かに、究極の和を楽しめる時計がほしい。和景刻は、そんなかなり個人的な欲求から生まれました。

和景刻の制作イメージ

最初から頭の中にあったのは、和紙でした。白く光るディスプレイとしてではなく、紙の質感を持ったものとして時計を置きたい。机の上で道具として浮き上がるのではなく、空気の中に自然に馴染んでほしい。そんな気持ちが先にありました。

でも、和紙だけでは少し寂しい。静かではあるけれど、そこにとどまり続けたくなるほどの深みがまだない。そう感じたときに浮かんだのが、大好きな京都の情景でした。

ただし、写真のような写実にはしたくありませんでした。写実的な景色は強い。きれいだけれど、仕事のそばに置くには少し情報が多すぎる。たまに眺めるならいいけれど、何度も視界に入るものとしては、少し「がちゃがちゃ」してしまう。目指したかったのは、主張する景色ではなく、心おだやかに自然にそこに在る景色でした。

だから墨絵の発想は、かなり早い段階からありました。けれど、墨絵の景色をただ置くだけでは、まだ足りない気がしていたのです。

そのときにふと浮かんだのが、刻というものは、ただ表示されるものではなく、うつろうものだ、という感覚でした。

朝から昼へ。昼から夕へ。夕から夜へ。

時間は、本来そうやって景色ごと変えていくものです。もし時計を和で作るなら、数字だけが時を告げるのではなく、景色そのものがゆっくりと時間を語るほうが自然なのではないか。そう思えたとき、和景刻の骨格がようやく見え始めました。

和の色合いも、そのころからずっと考えていたことのひとつです。鮮やかすぎると、静けさが壊れる。沈みすぎると、今度は生気がなくなる。和紙と墨のあいだで、どこまで色をにじませると気持ちいいのか。気づいたら変わっている、でもちゃんと変わっている。そんな移ろいを探していました。

京都の夕方の空に鳥が舞ったらどうだろう、と想像したとき、世界が少し立ち上がる感じがありました。五重塔があり、和紙の空気があり、夕方の空には鳥がいる。夜になれば星と月が現れる。そこでやっと、和景刻は単なる和風の時計ではなく、一枚の掛け軸の中に時間そのものが流れているようなものになれるかもしれない、と思えた気がします。

和景刻の制作机イメージ

実際に作っていて、いちばん神経を使ったのは空でした。

星空を平面に描くのは、思ったより素直な作業ではありません。球体の空を平面に落とし込むという意味では、世界地図を作る難しさに少し似ています。球をそのまま平らにすれば、どこかに無理が出る。だから既にある技術をそのまま使うだけでは足りず、自分の感覚に合うように少しずつ調整していく必要がありました。

しかも、月も太陽も、地平線の近くでは見え方が変わります。大気を通る距離が変わるから色味も違って見えるし、周囲との比較で大きく感じることもある。このあたりは、ただ正確に再現すればいいわけではありませんでした。理屈として正しくても、画面の中ではかえって不自然に見えることがあるからです。

だから最後に頼ったのは、忠実度そのものではなく、見たときに自然だと思える感覚でした。科学的な正確さを土台にしながら、最後は「これなら景色としてそこに在れるか」で決めていく。たぶん和景刻の空は、その繰り返しでできています。

和景刻は、便利な時計を作ろうとして生まれたというより、仕事のそばに置いたとき、見るたびに少し気持ちが整うものを作りたいと思って生まれました。

Apple の時計表示に飽きた、という些細な入口から始まったのに、掘っていくと、和紙がほしい、墨絵がほしい、京都の空気がほしい、そして刻はうつろうものであってほしい、という願いに変わっていった。そう考えると、和景刻の作成秘話は、機能の話というより、自分は机の上にどんな時間を置いていたいのか、という問いを少しずつ形にしていった話なのだと思います。

もしこの話を読みながら、自分なら机の上にどんな景色を置きたいだろうと考えてもらえたら、それはたぶん和景刻の入口にかなり近い感覚です。

和景刻の作成秘話を短くまとめると

和景刻は、Apple の時計表示への小さな飽きから始まりました。そこから、和紙の質感を持つ時計、墨絵で静かにそこに在る景色、京都の情景、そして時間そのものが移ろう表現へと発想が育っていきました。最終的には、和風の時計アプリというより、仕事のそばで気持ちを少し整えてくれる景色を机の上に置くためのアプリとして形になっています。

よくある疑問

和景刻とは?

和景刻は、和紙と墨絵の世界観で日本の風景が時間とともに移ろう、iPhone 向けの横向き置き時計アプリです。

和景刻はなぜ作られた?

仕事中に充電中の iPhone で Apple の時計表示を見続けるうちに少し飽きてきて、もっと落ち着いて眺められる、究極の和を楽しめる時計が欲しくなったのが出発点です。

和景刻でいちばんこだわったところは?

和紙と墨絵の静かな質感に加えて、刻はただ表示されるものではなく移ろうものだという考え方です。特に、星空や月や太陽が自然に見えるように空の表現は細かく調整されています。

和景刻そのものの機能や4つの世界を見たい方は、和景刻 - 墨絵が息づく和の置き時計 をどうぞ。